ハンサード(Hansard)アスパイア解体新書2021

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ハンサード (Hansard)ファンド分析 MC230 HIL Aberdeen Standard Brazil Equity USD

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ハンサード (Hansard)ファンド分析 MC230 HIL Aberdeen Standard Brazil Equity USDのご紹介です。

 

さて久しぶりのファンド分析シリーズです。

ここ1年で成績のよかった国はどこでしょうか?

 

 

それはブラジルです。

 

基本的に直近成績が良いファンドはあまりお勧めではないのですが、なぜ上がっているのか?さらに上がる可能性はあるのか?を確認していきましょう。

 

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5月末時点で直近1年の実績は20.32%プラスでした。

6月末時点では直近1年の実績は35%プラスまで成績を伸ばしています。

7月1日時点で、ハンサードの中のファンドで直近1年の成績堂々の一位です。

 

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投資先としては金融と一般消費財を多めに組み入れており、意外に資源の割合を低めにしているようです。

 

実績としては2015年に40%マイナスになった後に、2016年に56%、2017年に35%、2018年は-10%となったものの、今年に入り10%超の好調に推移している環境です。

 

まさしくハイリスクハイリターン、新興国の鏡のようなファンドです。

 

しかし、中身を見ずに夜にきらめく街灯に群がる蛾のように、このファンドに群がるのはやめておいた方が無難でしょう。

 

直近のブラジルニュース

ブラジル中銀は先行きの物価見通しを下方修正し、6月18-19日の金融政策委員会で金利据え置きを決定しました。中銀は年金改革が年内に議会で承認されれば、利下げ余地が生まれる見込みです。現状市場はすでに年内3回の利下げを織り込んでいます。
利下げ観測の高まりからブラジル2年国債利回りは6%台前半へ低下し。ボベスパ指数は初の10万ポイント台へ到達しました。近年の金利低下により、国内投資家の株式投資が活性化の兆しを見せ、今後の利下げはブラジル株にとって追い風要因になりそうです。

 

つまり

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最近の株高はブラジルのインフレ率が落ち着いている状況により、政策金利を引き下げることができたため、株高が継続している状況ということです。

 

それではこの傾向は続くのでしょうか?

 

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実はブラジルの直近のGDPは2年ぶりくらいにマイナスに転じてしまいました。

 

5月30日の日経新聞では

 

ブラジル、9期ぶりマイナス成長 1~3月 0.2%減

ブラジル地理統計院(IBGE)が30日発表した1~3月期の実質経済成長率は前期比で0.2%減と、9四半期ぶりのマイナス成長となった。企業の設備投資や輸出が低調なうえ、消費も振るわなかった。経済再生を掲げて1月に発足したボルソナロ政権だが、早々につまずいた形だ。

前年同期比でも0.5%増と、低成長にとどまった。ブラジル政府は22日、2019年の国内総生産GDP)の前年比伸び率の見通しを1.6%と、従来予測の2.2%から下方修正した。

1~3月のGDPは家計支出が前期比0.3%増と、伸び率が昨年10~12月期から0.2ポイント縮小した。サンパウロ市内の家具店が集まるショッピングモールは空き店舗が目立つ。寝具販売店の店員は「来客数が減り、購入単価も下がっている」と話す。3月の小売売上高は前年同月比4.5%減と、2年3カ月ぶりの下落幅を記録した。

3月の失業率は12.7%と、約1年ぶりの高水準で、消費者は財布のひもをしめる。オランダ資本の卸売業の「マクロ」は全体の8%にあたる6店舗を閉鎖した。スペインの小売大手「ディア」も3月までの1年間で不採算店舗を中心に113店舗を閉じた。

輸出は前期比1.9%減と前期のプラスからマイナスに沈んだ。主要輸出先である隣国アルゼンチンの通貨危機で、3月の鉱工業生産指数は輸出企業を中心に前年同月比6.1%低下した。資源大手ヴァーレの保有する鉱山ダムの決壊事故に伴う鉄鉱石減産も響いた。設備投資など固定資本形成は、前期比1.7%減と2期連続のマイナスとなった。

ブラジルでは16年の憲法改正で、歳出の伸びをインフレ率以下に抑えるように定めている。機動的な財政出動は限られ、税収減に伴う歳出削減を強いられている。

ブラジル経済は資源価格の下落や政治混乱で15年から2年連続でマイナス成長に落ち込んだ。17年と18年はプラス成長に転じたが、両年ともに1.1%成長にとどまる。

国営企業の民営化や税制改革を掲げるボルソナロ政権の発足で本格的な回復が期待されてきたが、出足は鈍い。議会との摩擦で政策実現の期待は下がり、通貨レアルは対ドルで年初来高値から1割近く下落した状態だ。

外国企業の間でも、ブラジル事業を縮小する動きが相次いでいる。米フォード・モーターは2月、サンパウロの大型トラック工場を閉鎖し、同事業から撤退を決めた。スイスの製薬大手ロシュや米イーライ・リリーも工場閉鎖を発表した。

 

以上日経新聞

 

こうした経済の実態は悪くても株価が上がる相場を金融相場などと言ったりします。現状は年内に年金改革が年内に議会で承認されれば、ブラジルの財政赤字の削減と、通貨の信頼回復、インフレ率の低下により、経済の一部は良くなるように見えるため、株価にはプラス要因となりそうです。しかし、ブラジルの経済的な硬直性は年金制度だけでなく、様々な保護主義的な政策全般にあり、まだまだ経済の効率性的には未熟と思われます。現にブラジルの潜在成長率は2-3%がせいぜいと思われます。

 

よって、ブラジル株は安い時は組み入れてもよいが、上がった後ば売却が基本となると割れますので、ハンサード 投資家で、ブラジルを持っている人はそろそろ利食いを考えてもよいのではないでしょうか?