米国のETF市場で新興国株に資金回帰|ハンサードモメンタム投資家は注意
ハンサード投資家の中にはアメリカ株に集中投資している投資家もいるのではないでしょうか?
一般的に短期的な運用を行う場合は、直近上がっている投資対象に投資する手法も良いといわれています。ただし、モメンタムは「何をモメンタム」とするかの指標が固まっておらず、多くの場合は伝統的な「移動平均線」などを利用して判断しているようです。そういったってんではモメンタムの切り替わりには気を付けるべきでしょう。新しいモメンタムが始まっているかもしれません。
モーニングスターの記事によると米国のETF(上場投資信託)市場で、先進国株から新興国株式への資金回帰の動きが活発化してきたそうです。
アメリカのモーニングスターカテゴリーの中の、「新興国株式」に属するファンドへの2019年12月の純資金流入額は47億ドル(約5134億円)となり、同年1月以来の高水準となったそうです。2019年は5~8月と4カ月連続で流出超が続いたが、9月以降は12月まで4カ月連続で流入超と資金が戻ってきています。
カテゴリ―別で純資金流入額の順位では、昨年12月に「新興国株式」は「米国株式大型ブレンド」、「海外株式大型ブレンド」に次いで3番目と高水準の資金が流入しています。個別のファンドでは、「iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF」(ティッカー:IEMG)が18億ドルでトップ、次ぎには「iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF」(EEM)が16億ドルとなって資金流入しました。
いずれもiシェアーズの代表的な新興国株ETFですが、IEMGの方が、より低コストで長期投資向けである一方、EEMはより売買が多く流動性が高く短期トレード向けという違いがあります。流入額でIEMGはEEMを2カ月連続で上回っており、新興国株に対する短期ではなく長期スタンスの投資が足元で優勢となっているとも言えます。
新興国株式のパフォーマンスは、代表的な指数であるMSCIエマージング・マーケット指数(米ドルベース・配当込み)が19年に18.90%と、先進国株式のMSCIワールド指数(同)を9.51%下回るなど遅れが目立っていますが、その分割安感も指摘されており、パフォーマンスにおいても巻き返しがあるか注目されます。
ハンサード投資家の中でバリュー株や小型株を選好している投資家の場合は良いと思いますが、モメンタム投資家はバリュエーション(株の割安割高)についても検討したほうが良いでしょう
■世界のPER・PBR・配当利回り・時価総額(2019年末時点)
地域・国 |
PER | PBR | 配当利回り | 時価総額 |
全世界 | 17.8 | 2.4 | 0.0239 | 51兆ドル |
先進国 | 18.3 | 2.5 | 0.0233 | 45.5兆ドル |
エマージング国 | 14.6 | 1.9 | 0.0291 | 5.5兆ドル |
ヨーロッパ | 15.3 | 1.9 | 0.0339 | 9.7兆ドル |
アジア・パシフィック | 12.9 | 1.4 | 0.0275 | 6.6兆ドル |
BRICs | 14.3 | 1.9 | 0.0246 | 3.4兆ドル |
日本 | 13.1 | 1.3 | 0.023 | 3.9兆ドル |
米国 | 22.1 | 3.8 | 0.0182 | 27.8兆ドル |
英国 | 14.3 | 1.7 | 0.0435 | 2.6兆ドル |