ハンサード投資家のための読者質問2020年8月版
今回は質問をいただきましたのでそれにお答えしたいと思います。
ファンド検索から当サイトに突き当たり、これまでの全ての記事を読ませていただきました。他社の積立を10年/25年やってきて、朧気ながら感じていたことが、わかりやすく書かれており、安心しました。ひとつお聞きしたいことがあります。「スイッチング=長期積立時の売り時OR買換え」についてです。10年ほぼプラマイゼロできましたが、3月に買いに向かったこともあり、この戻り相場で20%程度のプラスになりました。いろいろ考えるべき要素もあると思いますが、アロケーション、資金ニーズ以外の、戦略的なスイッチングについて、ご意見いただけますとありがたいです。
投資に関する誤解
インデックス投資が普及するにつれ、大きな誤解が生まれてしまいました。それは「運用は資産配分が90%で、投資タイミングは10%でしかない」ということです。
これは実際に投資をしている人はわかっているのですが、「機関投資家」のデータなので実際個人投資家にとっては投資タイミングが100%なんてのもざらだと思います。
これは機関投資家は百億、一千億レベルの資金を機動的に売買することはマーケットインパクトを与えてしまうため、売買できないため基本的に短期売買しないことを基本としたポートフォリオを組みます。
それに対して個人は機動的に売買することが可能ですので、立場が全く異なるのに、機関投資家の実績を個人に当てはめるため誤解が発生していると思われます。
戦略的スイッチング
戦略的スイッチングについてパターンとしては主に3つを紹介します。
①長期積み立てでご機嫌投資のほかに②投資のタイミングバリバリ計るぞっていう投資手法と③勝てるときだけポジションを作るぞっていう方法があるのでご紹介します。
①長期積み立てでご機嫌投資
ハンサード投資家にお勧めの投資手法です。
成長性が高く値動きの荒い投資対象で長期積み立て投資する手法です。これはドルコスト平均法×成長性により平均プラスαを狙いながら、あまり手間のかからないご機嫌投資手法です。
このご機嫌投資手法の肝は「売買しない」方法なので、一時的に非合理的に思える局面もありますが、目標リターンが平均リターンプラスαであれば問題ないです。
これは成長性というストーリーに投資する手法なのでストーリーが崩れない限りのんびり投資を継続するのが良いと思います。
平均リターンよりバリバリ儲けてやるという人には向きません。
平均リターンってどのくらいよっていわれると、先進国株で7%、新興国株で9%ほどだと思います。この手法は20年以上の長期投資で有効です。
②投資のタイミングバリバリ計るぞ
セミプロになるくらい運用が好きっていう人にはお勧めです。
ポイントは「モメンタム投資」を中心として「下げ相場」の時に早めに切り上げる手法です。
頻繁に売買できるかどうかでどの移動平均線を選ぶかが変わりますが、例えば年2-3回の切り替えであれば、75日移動平均線あたりが良いかと思います。75日移動平均を下回ったときは安定的な金やMRF的なファンドに切り替えるか、Man AHLのようなヘッジファンドを増やし、75日移動平均を上回ったら買うなどがいいと思います。
この取引手法は「ファンダメンタル」である割高割安を考慮していないためバブル時に買ってしまう可能性があります。その場合でも75日移動平均を割ったら速やかに売ることで最悪の事態は避けられるでしょう。
本来は複数の指標を使いながら運用するのが望ましいです。
例えば
長期トレンドを移動平均線
中期のトレンドをMACD
短期の波の変化がある株をRSI
高値からの相対位置をWilliam%R
安値からの相対位置をストキャスティクス
等ですね。
それができない場合はシンプルで汎用性が高いものとなりますので、75日移動平均や100日移動平均あたりを使うと良いでしょう。
③勝てるときだけポジションを作るぞ
基本は①のように基本のポートフォリオでのんびりご機嫌投資をしますが、今回のように20%以上の暴落したときだけ、ポートフォリオの守りの部分を一時的に積極的な投資対象に変更し、十分な利が乗ったら元のポートフォリオに変更する手法です。
先ほどの75日移動平均線が売り時を探すとしたら、今度はエントリーポイントを探す場合となりますので例えば200日移動平均線あたりが良いのではないでしょうか?
ちなみに相場の天井と底を予想しないで機械的にポジションを組めるかどうかがポイントとなります。
売買する場合の注意点
いくつかポイントがありますのでこれはしないほうが良いというのをご紹介します。
・マーケットイベントを予想してポジションを事前に構築しない
●トランプさんが負けることを前提にポジションを作る
●金利が下げられることを予定してポジションを作るといった
マーケットイベントからリターンを上げようとしないほうが良いでしょう。これは自分でコントロールできないリスクのため取りに行くべきではありません。
・リターンが出たからといってすぐに売らずに我慢する
利食いは遅く、損切は早くが基本です。
・予想が連続で外れた場合は、一回休む
売買の予想が連続で外れた場合は安定的なファンドやバランス型ファンドなどに切り替えて落ち着ける期間を設ける。
などなどですね。
投資は自己責任ですのでその点はよろしくお願いしますね。