ハンサード(Hansard)アスパイア解体新書2021

ハンサード(Hansard)アスパイア(いつかはゆかし)や海外投資を詳しく解説!

ハンサード投資家に伝えたいバリュー投資とグロース投資の現状

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 ウォールストリートジャーナルに面白い記事があったので、わかりやすいように捕捉しながらご紹介します。 

 

 株式投資の基本であるバリュー(割安)株投資とグロース(成長)株投資の話です。

ハンサードのファンドの中にもアメリカ株ファンドの中に、グロース系のテンプルトンファンドとバリュー系のJPMorganのファンドがあるので参考に見て見てください。

 

◆バリュー投資とグロース投資

 

 近年グロース株優位が続いており、割安株を投資対象とするバリュー投資家にとって、最近は忍耐力が求めらる環境が続いています。バリュー投資の元祖であるベンジャミン・グレアム(賢明なる投資家の著者)とデービット・ドット(証券分析の共著者)を基本の投資方針とする投資家でさえ、近年のグロース株優位の市場の流れに、決意を揺るがされる局面といえるのではないでしょうか。

 

 バリュー株投資戦略のファンドマネージャーもマイナスの運用成績なわけではありません。プラスのリターンを維持はできていますが、実際のところ徐々にグロース株投資のファンドマネージャーに運用成績で差をつけられてしまっている状況です。

 

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バリューVSグロース

 

Value VS Growthのチャートは、右軸の1以上の時期はバリューが有利、1以下の時はグロースが優位となっている。前回の01年のITバブル時はグロース株のバブルだったが、今回はどうなるだろうか)

 

 モーニングスター社のデータによると、過去 10 年間の大型株バリューファンドの年平均リターンは13.2%、大型株グロースファンドの年平均リターンは15.6%であり、リーマンショック後以降、バリュー株ファンドはグロース株ファンドを上回っていません。(平均リターンについてはリーマンショック後のデータのためリターンが異常に高くなっています)

 歴史的に、バリュー株投資はグロース株投資に対してパフォーマンスは負けている時期だけでなく有意な時期もしっかりありました。2000年代前半にはバリュー株投資が優位に立ち、神学論争が終わったと喧伝していたが、リーマンショックが起こると状況は一変し、その後はグロース株優位な環境が10年以上続いている状況です。

 

 一般的にはバリュー株投資は、長期にわたりグロース株投資に後れを取るが、ゴールするまで諦めなければ、最終的には運用成績で勝つといわれています。資産運用会社ガーシュタイン・フィッシャーの調査によると、1927 年 1 月から 2018 年 12 月までの期間の年率ベースの投資リターンは、米国の成長株が 9.9%だったのに対し、米国の割安株は 12.6%だそうです。

 しかし、現在の市場サイクルの間に、割安株と成長株との差が大きく開き、その状況が長く続いていることから、バリュー株投資の信奉者でさえ、割安株は成長株にもう追いつけないのではないかと考えている人たちが増えているようです。

 

 野村インスティネットの調査によると、ラッセル 1000 指数構成銘柄のうち、最割安銘柄と最割高銘柄のバリュエーションの差が、最近、この 20 年近くで最も広くなったそうです。

 

 このような状況を背景に、投資家には、割安株は 10 年に一度の買い時を迎えているのか、それとも衰退への道を下っているのか、という疑問が生じています。その答えは、そもそもバリュー投資とグロース投資の違いは何かということと同様に、場合によって異なるようです。

 

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バリューVSグロース


■ バリュー投資と金利環境

 

 ウォールストリートジャーナルによると、野村インスティネットのクオンツストラテジストであるジョゼフ・メズリッチ氏は 3 月のレポートで、バリュー投資に重要なのは環境であり、長短金利水準の示すイールドカーブが、割安株の見通しに関する唯一かつ最大の指標かもしれないと主張した。

 

 メズリッチ氏は、「2010 年の量的緩和イールドカーブへの影響が転換点となった」と述べ、多くの現金を抱える成長銘柄は、イールドカーブがフラット化すると、多くの負債を抱える傾向にある割安銘柄に対して優位性がさらに増すと説明する。3 月下旬のような逆イールドカーブは、その力を増幅させることになる。「割安株は回復するだろうが、イールドカーブの持続的なスティープ化が見られるようになってからの話だ」と同氏は語っています。

 

 市場サイクルの初期には正真正銘の掘り出し物が豊富にあるが、やがて割安株は選び尽くされる。強気相場の後半に割安な銘柄があれば、もっともな理由があってのことだろう。データトレック・リサーチの共同創設者であるニコラス・コラス氏は、「私たちの経験からはっきり言えることは、バリュー投資はサイクルの初期段階においては極めて有効だが、サイクルの中盤から終盤ではうまくいかないということだ」と話す。

 

 また、コラス氏は、バリュー投資は少数のセクターに集中する傾向があると指摘する。つまり、金融とエネルギーである。両セクターで、ラッセル 1000 バリュー指数の資産の 3 分の 1 を占めるのに対し、同グロース指数では 5%にすぎない。一方、テクノロジー銘柄は、ラッセル 1000 バリュー指数の 10%未満だが、同グロース指数では 3 分の 1 を占めているそうです。

 

 コーズウェイ・インターナショナル・バリュー・ファンドのハリー・ハートフォード氏によると、その影響は現在の市場サイクルでは特に目立っていて、それは IT 企業が金融機関を打ち負かしたためだけでなく、非伝統的な金融政策のせいでもあるという。ハートフォード氏は、「一部の長期債では利回りはマイナスまたはゼロであり、それほどの低金利環境では、成長銘柄の方が価値が高い」と指摘する。

 

■ 反転のタイミング

 このパターンは以前にもあったが、過去 10 年間は特に顕著になっていると、ウィリアム・ブレア・マクロ・アロケーション・ファンドを運用するブライアン・シンガー氏は指摘する。金融銘柄への影響について考えてみよう。シンガー氏は、「中央銀行が資産価格や金利を操作すると、金融機関のバランスシートが圧迫され、市場金利とは違う金利によって、ビジネスの根本的なファンダメンタルズが覆い隠されてしまう」と語る。そして、中央銀行が手を引けば状況は反転するのだが、投資家は、その展開を何年も待っているのです。

 

 リゾルツ・ウェルス・マネジメントのベン・カールソン氏は、「難しい問題は、今は、割安株が選好されていないだけなのか、それとも転換期を迎えているのか、ということだ」と話す。割安株のパフォーマンスの長期的な不振に関するよく知られた説明は、テクノロジー企業があらゆる産業に影響を与えるにつれ、革新的な成長銘柄と昔ながらの割安銘柄の間の亀裂がさらに大きくなる、というものだ。ソフトウエアやブランドといった無形資産は、新世界の企業にとってはより大きな要素だが、株価の割安・割高を判断する指標である株価純資産倍率(PBR)には正確に反映されない。これは、成長企業をより割高に見せ、成長株と割安株の格差拡大の一因となり、さらに、平均的水準への回帰を見込んでいる投資家を誤解させる可能性があります。

 

 マルチファクター戦略による資産運用を手掛けるガーシュタイン・フィッシャーの調査責任者、グレッグ・フィッシャー氏は、「ある時点でサイクルは転換し、バリュー株は再び優勢に立つのではないでしょうか。しかし、それがいつなのかは分からない」と述べています。

 

 基本的にバリュー株投資かは辛抱強い投資家が多い、そのような投資家の中でもバリュー株に疑いの目を生じさせている理由の多くは、金融株の存在があるように思います。

 

 今バリュー株のファンドを見た場合、多くはアメリカ株ならウェルスファーゴなどの金融株が上位に来ます。日本株でも三菱UFJみずほ銀行などはPBRが0.5倍を切るような、見事なバリュー銘柄です。しかし今後フィンテックなどにより独占業務が切り崩され、業界の構造転換を織り込んでいるようにも思います。

 

 

 ハンサードやフレンズ、スタンダードライフのように海外積立に興味を持つような投資家の中には、バフェットが好きという投資家も多いと思います。

 

 今後のバリューVSグロースの運用成績には要注目です(個人的には今後バリュー株が優位になると思っていますが…)

 

バリュー投資は金融の専門家が好きな投資手法なのです…その分割り引いてみないといけないかもしれませんが(;^_^A

 

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マネーブレイン代表 白石 定之 本当に殖やしたいならバリュー投資 より

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