ハンサード投資家のためのリバランス入門
本日はドルコスト平均法を利用している人にとって重要なリバランスについて説明します。
ただ重要なことですので一言説明しますが、一任勘定で運用している人は、ほとんどがドルコスト平均法を利用した積み立て投資を行っていません。そのためリバランスは関係ありません。さらに言うとほとんどの積み立て投資の説明は意味がありません。積立投資開始時の積み立て投資の戦略を利用していないからです。
ハンサード投資家は現在2つのタイプの投資家が多いのではないでしょうか?
1つ目は積み立て投資先をどんどん変更してしまっている、一括投資の延長の積み立て投資をやっているタイプ。
このタイプは「ドルコスト平均法」を利用した運用を行っていないので、積立投資をしているとは言いません。単純に「名もなきファンドマネージャーのファンド」に投資している状況です。
リバランスは関係ありません
このタイプの運用は上手くいけば、ものすごく儲かりますが、下手に行くとものすごく損しますので、ハイリスクハイリターン型です。それが好みの人はファンドマネージャーお任せファンドを選択するといいでしょう。
個人的にはポートフォリオをどんどん変更するアロケーション派は積み立て投資のメリットを失っており、よほど自信がなければ、老後の資金目的ではやらないほうが良いと思われます。
2つ目はリバランスもしないでじっと我慢しているタイプでしょうか?
助言会社の場合、相談した顧客に対してアドバイスすることが多いためか、相談しない顧客は、ずっと同じ割合でただ投資していることも多いようです。
個人的には積立投資でも3年~5年に1回はリバランスをすべきだと思います。
リバランスは実はどこでデータを取るかによるのですが、実績の出ているファンドの上昇局面ではリバランスしないほうがよく、実績の出ているファンドの下降局面ではリバランスしたほうが良いとなります。
リバランスすると成績のよいファンドを売って、成績の悪いファンドを購入することになります。そのためあまり短期でリバランスすると、上昇局面で水を差すことになり、リターンが抑えられてしまうことがあるようです。
逆に下降局面ではリバランスして、積極的な部分を減らしておいた方がよくなります。
不況開始 | 不況終了 | 不況期間 (月数) |
直前の好況期間 (月数) |
1980年1月 | 1980年7月 | 6 | 58 |
1981年7月 | 1982年11月 | 16 | 12 |
1990年7月 | 1991年3月 | 8 | 92 |
2001年3月 | 2001年11月 | 8 | 120 |
2007年12月 | 2009年6月 | 18 | 73 |
景気の後退期は短く、景気の上昇期は長いのが通常です。
そのため、短期間にリバランスをしまくることは結果として
リターンの機会を逃すことになりかねません。
積立投資の場合は序盤は、リバランス効果も高く、ポートフォリオもゆがみにくいです。
個人的には最初は5年、その後は3年ぐらいずつリバランスするとちょうど良いのではないかなと思います。
■リバランスを1年に1回は販売会社の戦略
ポートフォリオで運用管理する会社がリバランスをたくさんやることはよく知られています。その理由は「手数料が多く入る」からです。ポートフォリオの全部を切り替えると批判を浴びるため、リバランスで手数料稼ぎをしていました。
そのころの名残で現在も1年に1回はリバランスという記事が出回っていますが、データで分析する限り、あまり頻繁にやるよりは適度に期間をおいてリバランスをしたほうがことが分かっています。
■リバランスはリターンを増やすよりは、リスクを下げることが中心
リバランスの本質は当初想定したリスク水準に戻すことです。特にリターンを増やすためではありません。リバランスしないからリターンが低いなどというのは、個人的には違うのではないかと思っています。
実はリバランスの本質は2つ、下がっているファンドのリバウンド上昇をつかみ、上昇しているファンドの反落を防ぐことが目的です。
しかし、近年多くの株式は連動性を高め、株と債券などはっきりと資産の性質の異なるものでないとリバランスの効果が小さくなりつつあります。
さらに株と債券では価格変動率自体が小さいため、ほとんど下がっているものの上昇よりは、上がっているものの反落を防ぐことが目的になってしまします。
そのため、近年のリバランスは「リスクを下げる」ことが目的となります。そのためリバランスでリターンが向上する…というのは下落相場があった時ぐらいで通常は少ないのではないでしょうか?